何秒もしないうちに、恵は磔にされてしまった。そうして、またも股間に凶悪な男の手を伸ばされる。彼女を押さえつける必要がなくなったため、彼の指の動きは、さっきより遥かに自由になっていた。
濡れそぼった秘裂に右手の指先がめり込み、小刻みに振動する。左手が菊門を抉る。
「ひぐぅぅうっ! やめっ……あああっ! 許してぇぇぇえっ!」
中途半端に立たされたまま、恵はもがく。その耳元をザ・マウンテンの囁きがくすぐった。
「お前もパートナーみたいに楽しんじまえよ」
(理緒っ……!?)
促されて、恵は親友の方へぼやける目線を泳がせる。
(あっ……!)
そこでは理緒が、仰向けに倒れた状態から、座ったミスター仮面に下半身を持ち上げられ、さらに強く抱き締められていた。
普通の試合なら、ローリングクラッチホールドをかけられた格好だが……
「あれじゃ、ただのマングリ返しだな」
ザ・マウンテンが口にした卑猥な単語を恵は知らない。だが、マスクをずり上げて出てきたミスター仮面の舌が、秘所をねぶり回しているのを見れば、セックス用語だということは嫌でも分かる。
「ひああんっ! やっ……舐めちゃぁっ……ふぁぁあっ! ひあっ……ひあぁあっ……アソコがっ……痺れるよぉおっ! すごっ……あんっ……舌入れちゃやぁぁん!」
天真爛漫と思っていた親友の嬌声に、危うかった恵の理性が打ち砕かれた。
(理緒がっ……あんなエッチに感じてるなんてっ……)
もう……誰を信じていいのか分からない。今、最も存在感を持っているものといえば、二穴を苛む強烈な性感だ。
そこへ新たに強烈な痺れが加わった。
「ぃひやぁぁぁぁあっ!?」
ザ・マウンテンは充血して膨らんだクリトリスまで転がし始めたのだ。愛液をまぶすように、敏感な突起をいたぶりまくる。
「そこはっ……や……ぁおっ……ぃ……ぃひぃぃいんっ! ふあっ……あはぁぁおっ!」
天井を仰いで、恵はよがり狂った。
「ほぉら、観客の前でイッちまえよ」
あくまで楽しげなザ・マウンテン。指をさらに激しく暴れさせる。
恵の愛液は、もはや洪水状態だった。グチャグチャと粘った音を、会場中に響かせている。
(やっ……イクなんてっ……こんなっ……大勢に見られてるのにぃぃいっ! あたしぃっ……へ、変態になっちゃうっ! 見られてイクなんてぇっ……変態よ……ぉっ……! あたし変態はいやぁぁぁっ!)
だが、そんな心と裏腹に身体はどんどん高みへ登りつめていく。
前を見ても左右を見ても、愛撫される理緒の姿か、興奮した観客達しか目に入らない。
――いーけっ! いーけっ! いーけっ!
――いーけっ! いーけっ! いーけっ!!!
いつの間にか、絶頂を促すコールが始まっていた。
「あふっ! ひおっ……はぉぉおうっ! 言わないでぇぇっ……ああっ……ぅあああっ! いっ……ぁっ……本当にイッちゃ……イッちゃぅぅっ……! いやなのにっ……いっ……あぁぁっ!」
ビビクゥゥッ!
恵の肢体がキュゥウッと強張った。誰が見ても絶頂を迎えたと分かる大きな反応だ。
「ぅくひゃぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあああっ!」
甲高い悲鳴が、反り返った喉から迸る。しばしプルプルと痙攣していた彼女は……ガクリ、唐突に力を失ってうな垂れた。
「……ふあ……あへ……ぁ……あはぁ……」
荒い息を吐きながら、肩を上下させる。
尊厳も純潔も完膚なきまでに奪われると、不思議に身体が軽かった。目の前が真っ白に感じられ、まさしく昇天してしまった気分だ。
(あたし……終っちゃった……ぁぁっ……)
ぼんやり胸中で呟く。だが、それは勘違いだった。
「試合は一時間一本勝負だ。まだまだ楽しもうぜ」
敵に無慈悲な言葉を掛けられて、蕩けかけていた魂が凍りつく。
彼らは自分達をまだまだ弄ぶつもりなのだ。
「ひ……ぁ……そん……な……」
弛緩していた美貌にも絶望が戻ってきた。
その反応を見て、ザ・マウンテンはニンマリ笑ったのであった。
………………
…………
……
試合の後は、恵と理緒を観客達が囲んでの『握手会』だった。しかし、恵達が握るのは相手の手ではない。
「あぶっ……んちゅっ……んっ……あぉぉっ……」
「れろれろっ……ちゅぶっ……んっ……ぺろろっ……」
二人は自分達の痴態を見て勃起した客達のペニスを、握り、しごき、咥えさせられているのだ。
「むぅぅふっ……んっ……きゃあっ!?」
ドビュプッ! ビュックビュック!
ペニスが目の前で弾け、恵の顔面に精液を吐き散らす。
「う……ああっ……」
瞼を塞いだ白濁の塊を、恵は指先で拭った。すでに顔どころか、胸や肩、腹まで精液でネトネトと隙間なく濡れ光っている。そして、それが乾く間もなく、次々に子種が降り注ぐのだ。最初は吐きそうなほど生臭かったが、すでに嗅覚も麻痺してしまった。
(これで……何人目……?)
見当もつかない。数えるのも五人を過ぎた辺りで諦めてしまった。だが、客は百人ほどいたはずだ。理緒と分担しても、五十人の相手をしなければならない計算である。
理緒を見れば、彼女は両手を使って二本同時にペニスへ奉仕していた。その汚れっぷりは、恵と変わらない。
(なんで……こうなっちゃったの……? あたしは……大好きなプロレスをしたかっただけなのにっ……)
女子プロレスリング同好会の未来は……果てしなく暗い。
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