割れんばかりの歓声と熱気が、正方形の白いプロレス用リングを包み込んでいる。だが、それは秋山恵の好きな、燃える試合を望む類のものではなかった。百人を超える観客の視線は全て、ねぶるようなねちっこさで、恵とタッグパートナーの桃瀬理緒に集中しているのである。
 理由は彼女らのリングコスチュームにあった。
 何しろ、恵のものは普段の試合で使うレオタードから布地を五割近く削った――特に胸の谷間と下腹部を集中的に――きわどいデザイン。
 理緒に至っては、赤と白の紐を身体に巻きつけただけという有様なのだ。
 二人とも下手に動けば、乳房や秘所が衆人環視にさらされてしまうのは間違いない。
 勿論、こんな恥ずかしい格好で試合をするなど、恵の本意ではなかった。だが、この試合、男子レスリング同好会の提示した条件で彼らと戦って勝たなければ、女子の同好会が解散となってしまうのだ。
 いくら悔しくても、言う事を聞く他ない。
「……続いて〜ダイナマイトピーチ!!」
「ちょっと! なによっ! 変なリングネームつけないでよっ!」
 独特の節をつけた司会の読み上げに、理緒が抗議している。
(ごめん、理緒っ。そのリングネームを決めたのあたしなの……っ)
 恵は心の中でパートナーを引き受けてくれた親友に手を合わせた。
(この埋め合わせは必ずするからっ!)
 ……そして。
 試合の開始を告げるゴングが鳴り響いた。

(……とにかく、速攻で蹴りをつけなきゃっ!)
 プロレスは本来、客を楽しませるものだ。小技や駆け引きで場を盛り上げていき、派手な必殺技でフィニッシュ、というのが基本である。
 しかし、今回に限り、恵にはそんな進め方をするつもりはなかった。
(ここはフランケンシュタイナーで……決める!)
 フランケンシュタイナー。
 それはジャンプして相手の首を両脚で挟み、背中のバネを利かせて投げ飛ばす技である。大ダメージを期待できるし、そのまま相手へ馬乗りになれば、フォールにも繋げられる。恵の最も得意な技の一つだ。
「はっ!」
 気合と共に跳躍した彼女は、目の前のがっしりした相手――確かリングネームはザ・マウンテンだった――に脚を引っ掛ける。
 そこから投げ飛ば……
「……くぅっ!?」
投げ飛ばせない!
 ザ・マウンテンの巨体は、確かに揺らいだ。だが彼はギリギリのところで踏ん張ったのだ。同性相手ならともかく、弱ってもいない男性選手へいきなり大技を仕掛けるには、恵は非力過ぎた。
「よぉし、捕まえたぜっ!」
 ザ・マウンテンの両腕が美少女レスラーの太股を掴む。
「やっ、このっ! 離しなさいよぉっ!」
 逆さ吊りとなってしまった恵は、ジタバタと上体を捻った。しかし、彼女は肝心なことを忘れている。
 ポロリ……!
「いやっ!?」
 激しい動きにコスチュームの胸元がずれ、乳首が左右とも露になってしまった。
 ゥオオオオオオッ!
 客の声が一気に大きくなった。いやらしい空気の振動が、リングの上にまで伝わってくる。
「いやっ! 見ないでぇぇっ!」
 恵は慌てて、両手でコスチュームの胸元を正した。ただでさえ血が昇りやすい位置にある頭が、カッと熱くなる。
 しかも、恥辱はそこで終らなかった。
「ぶふぅぅぅうっ!」
 ザ・マウンテンが目の前の股間へ、強く息を吹き付けてきたのである……!
「ひうぅっ!?」
 思わず全身を強張らせてしまう恵。無論、いきなりそんなことをされて、感じるはずもない。ただ嫌悪感を震えただけだ。だが、背筋がゾクリッとすることに変わりはなかった。
「な、何するのよ……っ!」
 相手へ届きもしない腕を、ブンブンと振り回す。そのせいで、またもコスチュームの胸元が開いた。
「やっ!」
 すぐに乳房を隠すが、またしても――
「ぶぅぅぅぅぅうふっ!」
 息を掛けられる。
「うあっ……や、やめてぇえっ!」
 恵は気こそ強いが、恋もまだの初心な少女なのだ。こんな大勢の前で辱めを受けるなど、我慢できることではない。
(こ、こんなのいやぁっ!)
「ちょっと! 何やってるのよっ!」
 見かねた理緒がリングへ飛び込んできた。
 しかし……
「あーっと、ザ・マウンテンのパートナー、ミスター仮面がすかさずカーーット!」
「こ、こらっ! 邪魔しないでよぉっ!」
 覆面をかぶったもう一人のレスラーに抱き付かれてしまった。しかも彼女までが、もがくうちにコスチュームを乱し、メロンのように大きなバストを、客達の前へさらけ出してしまう。

「やっ、見ちゃダメェェッ!」
 これでは恵と同じだ。しばらく助けに来てくれそうにない。
(何とか……しなくちゃ……っ!)
 焦る恵の視界がいきなりぶれた。同時に襲ってくる浮遊感。
「なっ……ああっ!」
 浮遊感は一瞬で急速落下に変わった。ザ・マウンテンはボディスラムを仕掛けてきたのだ。
 ズダーーンッ!
「つぁううぅっ!?」
 マットがビリビリ波打つ。
 恵は完璧に上体を叩きつけられていた。咄嗟に首を曲げて後頭部をぶつけるのだけは避けたものの、凄まじい衝撃に一瞬呼吸が止まってしまう。
「く……ぅぅっ」
 恵の意識が朦朧といているうちに、敵は次の行動に移っていた。可憐な獲物の両腕を後ろへねじり上げてから、己の右腕を引っ掛けて固定する。さらに立て膝の姿勢を取り、再び上下を逆さまにした女体を担ぎ上げた。空いていた左手は恵のしなやかな太腿に伸び、大股開きの形で固めてしまう。
 恵が初めて食らう関節技だった。本来は肩と股にダメージを与える技なのだろう。だが、ザ・マウンテンはわざと締め付けを緩くしているようだ。痛みがない分、自分がいかにみっともない格好をしているか、恵ははっきりと思い知らされてしまう。
「いやいやっ……いやぁぁぁあっ!」
 幼子がいやいやをするみたいに首を振った。絹のようにサラサラと長い髪は、力なく下へ垂れており、無惨な様を一層強調するかのようだ。
 しかも、ザ・マウンテンの左手の中指は、無防備となった秘所へ伸びてきた。リングコスチュームの股間部を横へずらし、割れ目を直に撫で回し始める。
「ゃひぃぃいっ!?」
 大事な場所を大勢に見られてしまうだけでも耐え難い。まして、こんな卑劣な奴に触られてしまうなど。
「やめてっ! やめてやめてやめてぇっ! ギブアップ! ギブアップするからぁっ!」
 だが、悲痛な訴えには誰も耳を貸さなかった。審判でさえ、聞こえない振りをしている。
「どうしてっ!? 誰か早く止めてぇぇぇっ! これ試合じゃないっ! あたしっ……こんなことするなんて聞いてないぃぃいっ!」
 何とか自由になろうと腰を揺するが、単に秘唇と押し付けられた指とが擦れ合っただけであった。
「うっ……あぁんっ!?」
「ぐふっ……まだまだっ、こんなもんじゃないんだぜ」
 ザ・マウンテンが自分からも指を動かし始めた。割れ目に添って先端を往復させてくる。ゴツい巨体に似合わず、こそばゆさを生む繊細な愛撫だ。
「り、理緒ぉっ……早くっ……お願いだから早く助けてぇ……っ……!」
 一縷の望みをかけて、潤む目をパートナーへ向けたが……
「やめっ……やだぁぁあっ! 降ろしてっ……馬鹿っ、見ちゃダメェェェッ!」
 理緒はミスター仮面を振りほどくどころか、完全にリングコスチュームを脱がされてしまっていた。百対以上の視線に丸裸をさらし、しかも、赤ん坊が親におしっこをさせてもらうような大開脚の形で、高々と掲げられている。淫唇などパックリ開いた状態で、奥に隠れていたピンクの肉襞まで覗いていた。
「あぁっ……理緒ぉっ……」
 先ほど恵が叫んだように、もはやこれは試合などではない。二人の美少女レスラーを襲う公開陵辱だ。
 ヅブブッ!
「ふぎぃぃいっ!?」
 ザ・マウンテンは秘所いじりに加えて、親指を肛門に突っ込んできた。節くれ立った太い指に括約筋をこじ開けられて、恵は声を裏返らせる。
「そこはいやぁぁっ! きっ、汚いっ! ダメッ……お尻はやめへぇぇえっ!」
 引き裂かれるような痛みと共に、排泄感と酷似した落ち着かなさが尻に蟠る。それをこそぎ落とすように、指が出入りを始めた。ヒリ出される汚物を思わせる速度でゆっくり抜けたかと思えば、できた空洞を埋めるようにまたズブズブと沈み込んでくる。それが容赦なく繰り返された。
「はふっ……うああっ! あ……ひぃんっ! 動かさないでぇぇえっ! お尻が傷付いちゃうぅぅふっ! ひおっ……んくひぃぃいっ! ひ、広がっちゃうぅぅうっ!」
 必死に訴えるが、相手は馬鹿にしたように鼻を鳴らしただけだ。
「気持ちよくなってきたんだろ? 尻穴をかき回されるのが癖になっちまいそうなんだろう?」
「そっ……なわけ……なひぃぃいっ! お尻はやぁぁぁあっ! やっ……やんっ……くやぁぁあっ!」
 ザ・マウンテンが指を躍らせるのに合わせて、悲鳴も切れ切れに跳ねる。
「ほれほれ、そんなやらしく喘いでよぉ。おマ○コなんて濡れてきてるぜぇ」
「んっ……そんなの嘘っ……ぅ……ぁああんっ! ひぐっ……ぃっ……ひおおおっ!」
 必死に相手の揶揄を否定するが、耳には小さな水音が届き始めていた。何よりいじられていると、言葉にしがたいむず痒さがウズウズと秘所の奥で脈打つのだ。
(こっ……これっ……あたしのアソコのっ……!? いやっ! そんなの嘘っ!)
 自分自身の変化を受け入れられない恵に、司会が追い討ちをかけてきた。
「これはいやらしいっ! 私、流血試合というのは聞いた事がありますが、愛液垂れ流しの試合など、聞いた事がありませんっ!」
 ウワアァァァアアーーーーッ!!
 司会へ応じるように周りの歓声が一際高くなり、恵の鼓膜を打ち据える。
「あた……しっ……やっぁぁぁあうっ! こんなの違うっ……! あひぃい……っ……み、見ら……れるなんてっ……お尻っ……ああぁうっ……アソコ……がっ……ぁぁあんっ!」
 もはや自分でも何を口走っているのか理解できない。天地逆転した頭がグラグラして、鼻血が出そうだ。
 意識が完全に飛びかけた時、ようやく技が解除された。股間からも手が離れる。
「はぁっ、はぁっ、ぅ……ゃ……やぁぁ……」
 下に降ろされた恵は、相手の方を見ようともせず、無様に這って逃れようとした。だが、手足は弱々しくマットの上を滑るだけ。そんな動きで敵との距離を開けるはずもなく、あっさり捕まってしまった。
「は、離してぇぇっ……もぉやめてぇぇっ!」
 もがきながら泣きじゃくる彼女の両肩を掴んで、ザ・マウンテンはリングの縁まで引きずっていった。そして強引に立たせ、手足をロープに絡ませる。

 何秒もしないうちに、恵は磔にされてしまった。そうして、またも股間に凶悪な男の手を伸ばされる。彼女を押さえつける必要がなくなったため、彼の指の動きは、さっきより遥かに自由になっていた。
 濡れそぼった秘裂に右手の指先がめり込み、小刻みに振動する。左手が菊門を抉る。
「ひぐぅぅうっ! やめっ……あああっ! 許してぇぇぇえっ!」
 中途半端に立たされたまま、恵はもがく。その耳元をザ・マウンテンの囁きがくすぐった。
「お前もパートナーみたいに楽しんじまえよ」
(理緒っ……!?)
 促されて、恵は親友の方へぼやける目線を泳がせる。
(あっ……!)
 そこでは理緒が、仰向けに倒れた状態から、座ったミスター仮面に下半身を持ち上げられ、さらに強く抱き締められていた。
 普通の試合なら、ローリングクラッチホールドをかけられた格好だが……
「あれじゃ、ただのマングリ返しだな」
 ザ・マウンテンが口にした卑猥な単語を恵は知らない。だが、マスクをずり上げて出てきたミスター仮面の舌が、秘所をねぶり回しているのを見れば、セックス用語だということは嫌でも分かる。
「ひああんっ! やっ……舐めちゃぁっ……ふぁぁあっ! ひあっ……ひあぁあっ……アソコがっ……痺れるよぉおっ! すごっ……あんっ……舌入れちゃやぁぁん!」
 天真爛漫と思っていた親友の嬌声に、危うかった恵の理性が打ち砕かれた。
(理緒がっ……あんなエッチに感じてるなんてっ……)
 もう……誰を信じていいのか分からない。今、最も存在感を持っているものといえば、二穴を苛む強烈な性感だ。
 そこへ新たに強烈な痺れが加わった。
「ぃひやぁぁぁぁあっ!?」
 ザ・マウンテンは充血して膨らんだクリトリスまで転がし始めたのだ。愛液をまぶすように、敏感な突起をいたぶりまくる。
「そこはっ……や……ぁおっ……ぃ……ぃひぃぃいんっ! ふあっ……あはぁぁおっ!」
 天井を仰いで、恵はよがり狂った。
「ほぉら、観客の前でイッちまえよ」
 あくまで楽しげなザ・マウンテン。指をさらに激しく暴れさせる。
 恵の愛液は、もはや洪水状態だった。グチャグチャと粘った音を、会場中に響かせている。
(やっ……イクなんてっ……こんなっ……大勢に見られてるのにぃぃいっ! あたしぃっ……へ、変態になっちゃうっ! 見られてイクなんてぇっ……変態よ……ぉっ……! あたし変態はいやぁぁぁっ!)
 だが、そんな心と裏腹に身体はどんどん高みへ登りつめていく。
 前を見ても左右を見ても、愛撫される理緒の姿か、興奮した観客達しか目に入らない。
――いーけっ! いーけっ! いーけっ!
――いーけっ! いーけっ! いーけっ!!!
 いつの間にか、絶頂を促すコールが始まっていた。
「あふっ! ひおっ……はぉぉおうっ! 言わないでぇぇっ……ああっ……ぅあああっ! いっ……ぁっ……本当にイッちゃ……イッちゃぅぅっ……! いやなのにっ……いっ……あぁぁっ!」
 ビビクゥゥッ!
 恵の肢体がキュゥウッと強張った。誰が見ても絶頂を迎えたと分かる大きな反応だ。
「ぅくひゃぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあああっ!」
 甲高い悲鳴が、反り返った喉から迸る。しばしプルプルと痙攣していた彼女は……ガクリ、唐突に力を失ってうな垂れた。
「……ふあ……あへ……ぁ……あはぁ……」
 荒い息を吐きながら、肩を上下させる。
 尊厳も純潔も完膚なきまでに奪われると、不思議に身体が軽かった。目の前が真っ白に感じられ、まさしく昇天してしまった気分だ。
(あたし……終っちゃった……ぁぁっ……)
 ぼんやり胸中で呟く。だが、それは勘違いだった。
「試合は一時間一本勝負だ。まだまだ楽しもうぜ」
 敵に無慈悲な言葉を掛けられて、蕩けかけていた魂が凍りつく。
 彼らは自分達をまだまだ弄ぶつもりなのだ。
「ひ……ぁ……そん……な……」
 弛緩していた美貌にも絶望が戻ってきた。
 その反応を見て、ザ・マウンテンはニンマリ笑ったのであった。

 ………………
 …………
 ……
 試合の後は、恵と理緒を観客達が囲んでの『握手会』だった。しかし、恵達が握るのは相手の手ではない。
「あぶっ……んちゅっ……んっ……あぉぉっ……」
「れろれろっ……ちゅぶっ……んっ……ぺろろっ……」
 二人は自分達の痴態を見て勃起した客達のペニスを、握り、しごき、咥えさせられているのだ。
「むぅぅふっ……んっ……きゃあっ!?」
 ドビュプッ! ビュックビュック!
 ペニスが目の前で弾け、恵の顔面に精液を吐き散らす。
「う……ああっ……」
 瞼を塞いだ白濁の塊を、恵は指先で拭った。すでに顔どころか、胸や肩、腹まで精液でネトネトと隙間なく濡れ光っている。そして、それが乾く間もなく、次々に子種が降り注ぐのだ。最初は吐きそうなほど生臭かったが、すでに嗅覚も麻痺してしまった。
(これで……何人目……?)
 見当もつかない。数えるのも五人を過ぎた辺りで諦めてしまった。だが、客は百人ほどいたはずだ。理緒と分担しても、五十人の相手をしなければならない計算である。
 理緒を見れば、彼女は両手を使って二本同時にペニスへ奉仕していた。その汚れっぷりは、恵と変わらない。
(なんで……こうなっちゃったの……? あたしは……大好きなプロレスをしたかっただけなのにっ……)

 女子プロレスリング同好会の未来は……果てしなく暗い。

 
 
 
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